水溶性と不溶性、2つの食物繊維の働きとバランス!

食物繊維の歴史は古代ギリシャ時代にまでさかのぼります。

その時代から小麦ふすまは、便秘予防に効果があると言われ食べられていたそうです。

しかしながら栄養学では、「食物のカス」として扱われていて、その働きに注目されておりませんでした。

 しかし1930年頃、コーンフレークを生み出したケロッグ博士によって、小麦ふすまが「便秘改善に効果があることが発見されて、注目されるようになりました。

その後オーストラリア科学者のヒップスレー医師が、「Dietary Fiber:食物繊維」と名づけました。

既存の栄養学では、「栄養素は消化・吸収されるもの」として扱われていましたが、栄養学の成長により、1970年代位から「消化されないことが体の内で良い効果がある栄養素」という形で周知されるようになり、これらが健康と密接に作用していることにより、第六の栄養素として注目をあびています。

また食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つに分類されます。

これらの働きは少し異なるので、こちらの記事で詳しくご紹介いたします。

食物繊維の定義

食物繊維の定義

食物繊維の定義に関しては、各国色々な見方があって論議が繰り広げられています。

 日本においては、「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」とガイドブックに記載されていて、一般的には認識されております。

従って植物とは異なる、カニやエビなどといった甲殻類に含まれるキチンや、消化されづらいデンプンであるレジスタントスターチ、消化されない糖の1つであるβ-グルカンまで、幅広く食物繊維に含まれます。

 しかし日本ても、色々な意見があるのでこの後も目が離せない栄養素です。

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食物繊維の体内での働き

食物繊維の体内での働き
引用元https://grong.jp/dflife/soluble-insoluble-dietary-fiber-work/

咀嚼(そしゃく)による効果

食物繊維が多い食品は、噛み応えがあって咀嚼(そしゃく)の時間が長いという特徴があります。

その時に、小腸から吸収された食物が満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを防ぐ効果があります。

胃における働き

食物繊維は胃に入ると、胃液を摂りこんで食物の「カサ」をふくらませます。

胃でカサが大きくなることで満腹感が満たされ、食べ過ぎを抑える効果があります。

さらに胃に食物繊維があることにより、糖質が胃から小腸にゆっくりと移動し、急な血糖値上昇を抑えてくれます。

小腸における働き

小腸に移動した食物繊維は、水分を摂りこみ、ゲル状になります。

このゲルがあることにより糖質や脂質の消化、吸収が緩やかになります。

その結果、血糖値上昇を抑えてくれて、コレステロール、ナトリウムといった不要な物質の吸収を防ぐのです。

この様な働きによって、脂質異常症や高血圧などの予防が、期待できるといわれております。

大腸における働き

消化されない食物繊維は、小腸を通って大腸にとどきます。

大腸に届いた食物繊維は、腸内細菌によって発酵され、短鎖脂肪酸やガスが生成されます。

生成された短鎖脂肪酸は、大腸がんや高コレステロールの予防に効果があるといわれております。

 また食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり、ビフィズス菌や乳酸菌といった「善玉菌」を増殖し、有害な「悪玉菌」を減少させる効果があり、腸内環境の改善に役立ちます。

 この様な結果から、腐敗物質や発がん物質といった有害物質の生成を抑え込み、免疫機能の向上にも効き目があると考えられていおります。

食物繊維の分類と特性

食物繊維の分類と特性

食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と溶けない「不溶性食物繊維」の2種類に分類されます。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維の特性

不溶性食物繊維を多く含む食品は、多孔質のものが多くボソボソ、ザラザラしてよく噛まなければ飲み込めない食品が多いため、必然的に咀嚼(そしゃく)回数がふえます。

また胃にとどまる時間が長い為、腹持ちが良く食べ過ぎを防いでくれます。

さらに水分を吸収し、便のカサを大きくながら腸を移動し、蠕動運動(ぜんどううんどう)を促進し、排便を促してくれます。

また乳酸機やビフィズス菌などの善玉菌のエサになって、腸内細菌を増やし、お腹の調子を良くしてくれます。(水溶性食物繊維よりは発酵性は低い)

近年の研究の報告では、不溶性食物繊維もインスリン感受性の増加に働きかける可能性がある、とわかってきました。

インスリン感受性とは、筋肉・肝臓などの臓器でのインスリンの効きやすさのことをいいます。
つまりインスリン感受性が高いと、少ないインスリンでも糖を取り込むことができるということになるのよ。

不溶性食物繊維を含む食品

種類食品
セルロースごぼう、大豆、小麦ふすま
ヘミセルロース小麦ふすま、大豆、穀類、野菜類
リグニン小麦ふすま、穀類、ココア
キチン甲殻類の殻、きのこ

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維の特性

水溶性食物繊維はネバネバしている形状をもち、腸内をゆっくり移動して、糖質の吸収を遅らせることで、食後の血糖値の上昇を抑えてくれます。

また腸内でゲル状になり、腸内の老廃物の掃除をしながらゆっくり移動します。

コレステロールを低下させる

水溶性食物繊維には吸着性があるため、小腸でコレステロールや胆汁酸を吸収して、効率的に体の外に排泄させるための効果があります。

また乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やす効果もあります。

種類食品
ペクチンリンゴ、みかんなどの果実類
キャベツ、大根などの野菜類
芋類
アルギン酸こんぶ、わかめなどの海藻類
ガム質大麦、カラス麦などの麦類

この様に食物繊維は大変すぐれた栄養素ですが、どちらか一方に偏っていたり、過剰に摂取しているとバランスが崩れて体調不良をおこします。

たとえば不溶性食物繊維を過剰に摂取しすぎると、便のカサが大きくなりすぎて、腸内をスムーズに移動できなくなります。

さらにおおきくなった便が大腸内に長時間停滞することで、腸に水分を吸収されてしまい硬い便になり便秘やオナラガたくさん出るなことにつながります。

水溶性食物繊維は、保水力とドロドロした粘り気が特徴的です。

この様な特徴があることから、胃から小腸への移動に時間がかかります。さらに小腸ではこの粘り(ゲル)が栄養素を包み込むため、糖質や脂質の吸収が緩やかとなり、急激な血糖値の上昇およびコレステロールの吸収を抑える働きがあります。

水溶性食物繊維を含む食品

また水溶性食物繊維の中でも、よく食品素材として使用されているものがあります。

β‐グルカン
大麦に含まれる水溶性食物繊維です。大麦は水溶性食物繊維の大部分がβ-グルカンといわれています。

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イヌリン
菊芋、たまねぎやニンニク、ごぼうなどに含まれる水溶性食物繊維です。

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難消化性デキストリン
食品に添加されている難消化性デキストリンは、トウモロコシの難消化性成分を抽出して調整したもので、水溶性食物繊維に分類されます。

水溶性 不溶性食物繊維のバランス

水溶性、不溶性食物繊維のバランス

食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。

どちらも体内で重要な働きがあり、その理想的なバランスは

「水溶性食物繊維:不溶性食物繊維=1:2」

しかしながら平均摂取量を見てみると、おおよそ1:3と不溶性食物繊維に偏りがちなのです。

あなたがもし便秘やガスでお困りの場合ならば、この様な原因が考えられます。

便秘やおならの原因

  • 食物繊維のとりすぎ(とくに不溶性食物繊維)
  • 水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスが崩れている
  • そもそも食物繊維が足りていない

食物繊維といっても

  • ペクチン
  • グルコマンナン、
  • イヌリン……

などといった、たくさんの種類があり、それらの特徴を知りバランスよくとり入れることが必要です。

イヌリンについても過剰に摂取したり、偏ってとったりすると、かえって下痢や便秘などになるといわれています。
最初から多量に摂取するのではなく、1日2〜3gを1〜2週間摂取して体を慣らしながら、徐々に量を増やしてみてはいかがでしょうか。

正しく使用すれば体にとっていいことだらけです。

食物繊維が多く含まれている食品

食物繊維が多く含まれている野菜

100gあたりに含まれる食物繊維の総量が特に多い食品をみていきましょう。

●穀類

食品名食物繊維/総量
米ぬか20.5g
オートミール9.4g
ライ麦パン5.6g

●いも類

食品名食物繊維/総量
凍みこんにゃく(ゆで)15.5g
乾燥マッシュポテト6.6g
干しいも5.9g

●野菜類

食品名食物繊維/総量
らっきょう(生)20.7g
グリンピース(ゆで)8.6g
しそ(生)7.3g
よもぎ(葉/生)7.8g
ごぼう(ゆで)6.1g
モロヘイヤ(茎葉/生)5.9g
ほうれん草(ゆで)3.6g

●豆類

食品名食物繊維/総量
きな粉(全粒・黄大豆)18.1g
いんげんまめ(ゆで)13.3g
あずき(ゆで)11.8g
おから(生)11.5g

●きのこ類

食品名食物繊維/総量
干ししいたけ(ゆで)7.5g
エリンギ(ゆで)4.8g
まいたけ(油いため)4.7g

●海藻類

食品名食物繊維/総量
ほしひじき(油いため)4.5g
乾燥わかめ(水戻し)5.8g
焼きのり36.0g
削りこんぶ28.2g

食品に含まれる食物繊維の総量は、可食部100gあたりに含まれる量。「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」から引用。

同じ大豆製品でもきな粉やおからの方が豆腐より多く食物繊維が含まれています。

また生のものより焼きのりや削りコンブなどのような乾物品の方がより多くの食物繊維が含まれていることがわかりますね!

でもどんなに乾物に食物繊維が多く含まれていても、海苔や削りコンブなどを100gも食べるのは難しですよね!
そこで上手に取り入れるポイントを紹介します。

食物繊維を上手にとり入れるポイント

食物繊維を上手に取り入れるポイント

健康効果が期待できる食物繊維、積極的にとり入れたいですよね。

それでは食物繊維を上手にとり入れるためのポイントをいくつか紹介します。

1日350g野菜を食べよう

食物繊維といえば野菜ではないでしょうか。

食物繊維を意識して摂りたいときには、100gあたりの食物繊維総量だけにこだわらず、野菜、豆類、きのこ類、海藻類をバランスよく食事に取り入れるのが大切です。

野菜の1日の目標摂取量は350g以上といわれています。

しかしこの量は結構な量です。

そこで野菜やきのこ類はおひたしや具沢山の味噌汁やスープにすることでかさが減り、たくさん食べることができるため、より多くの食物繊維を摂ることができます。

サラダや和え物、スープ、みそ汁に野菜をたっぷり入れて、野菜料理を1日5皿を目標にとり入れてみてください。

温野菜にすることで結構な量を、ストレスなく食べる事が出来ます。

野菜の皮も食べよう

野菜の皮の部分には多くの栄養が含まれています。

食物繊維以外にもビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどが含まれていて、ごぼうは皮の部分にはイヌリンやセルロース、リグニンといった水溶性食物繊維が多く含まれています。

皮ごと食べられる野菜はなるべく皮のまま料理し、食物繊維を余すことなく食べましょう

主食を変える

普段私たちが食べている白米には、食物繊維はほとんど含まれていません。

そこで普段のご飯に、玄米や大麦などを入れた雑穀ご飯を食べる事で1日1~2g程度の食物繊維をとる事が出来ます。

また玄米や大麦は食物繊維の他にも、ビタミンやミネラルなどが豊富に含まれているので、是非積極的に取り入れてくださ。

主食を玄米や雑穀を入れたご飯にすると、ダイエット効果もあります。

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まとめ

「食べ物のカス」として、昔は見向きもされていなかった食物繊維ですが、水溶性・不溶性食物繊維ともに、体にとって大変良い効果がある事がわかってきています。

今までに沢山の食物繊維の種類が発見されましたが、効果や働きまたメカニズムなど、いまだにわかっていない事が多くあり、現在も多くの研究が進められています。

食物繊維を効果的にとるポイントは、様々な食品と組み合わせながらとることで、より効果を実感出来て、腸内環境の改善につながります。